第5回:食事と休養の関係(アスリート休養学 コラム)

〜「何を食べるか」で回復の質が決まる〜
休養というと「睡眠」や「ストレッチ」などが思い浮かびがちですが、実は食事も立派なリカバリー手段のひとつです。
トレーニングや試合によって消耗した体を修復し、次に向けてコンディションを整えるには、「何を、いつ食べるか」が極めて重要です。
今回は、アスリートが知っておくべき「リカバリーフード」とその摂取タイミングについて解説します。
■ 食事は“栄養補給”ではなく“回復作業”
トレーニング後の体は、筋肉の繊維が細かく損傷し、エネルギー源であるグリコーゲンも枯渇しています。
ここで適切な栄養を入れてあげることが、「壊れた体を直す」作業につながるのです。
その意味では、食事は単なる「エネルギー補給」ではなく「修復作業の材料を届ける行為」と言えます。
■ リカバリーフードに必要な3要素
① 炭水化物(糖質)
消費されたエネルギー源(筋肉中のグリコーゲン)を素早く補給する。
例:白ごはん・うどん・バナナ・おにぎり
② タンパク質
筋肉の修復と合成に必要不可欠。
例:鶏肉・卵・納豆・魚・プロテイン
③ 水分・電解質
汗によって失われた水分とミネラル(ナトリウム・カリウムなど)を回復。
例:スポーツドリンク・みそ汁・果物
この3要素がバランスよく摂れる「おにぎり+味噌汁+卵焼き+果物」のような組み合わせが理想的です。
■ 「ゴールデンタイム」を逃さない
トレーニング後30分以内は、「栄養吸収のゴールデンタイム」と言われ、特に炭水化物とタンパク質を同時に摂取すると筋肉の修復がスムーズに進みます。
このタイミングで「軽食+プロテイン」など、消化に優しい食品をとる習慣をつけましょう。
■ 食べない=回復しない
「疲れているから」「食欲がないから」と食事を抜くことは、回復を自ら放棄しているようなもの。
特に成長期の選手にとって、食事は“身体づくりの時間”でもあります。休養と同じくらい、いやそれ以上に、毎日の食事に意識を向けるべきです。
■ まとめ
・食事はトレーニングの一部であり、重要な“回復作業”
・炭水化物・タンパク質・水分のバランスがリカバリーのカギ
・トレーニング後30分以内の栄養摂取を習慣化する
・食べないことは回復を遅らせる最大のリスク
【次回予告】
第6回では、精神的な休養(メンタルリカバリー)について掘り下げていきます。心の疲労を取るための方法と、集中力やメンタル安定の回復戦略を紹介します。
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