第7回:成長期の選手に必要な休養戦略(アスリート休養学 コラム)

〜「休ませる」も、指導の一部〜
中学生・高校生といった成長期の選手にとって、**休養は“特別なこと”ではなく“日常に組み込むべきもの”**です。
この時期は骨格・筋肉・内臓など、あらゆる器官が発達途中であり、過度なトレーニングや不足した休養は「伸びしろ」をつぶすリスクになります。
今回は、ジュニアアスリートに必要な「休養の考え方」と、成長を支える休養戦略について解説します。
■ 成長期の体に起こること
・骨や軟骨が急成長 → 疲労骨折やオスグッドのリスク
・筋肉に対する骨の伸びが追いつかない → 柔軟性の低下
・自律神経の発達途上 → 疲労感・睡眠リズムの乱れ
・ホルモン分泌の影響で感情が不安定 → メンタルケアの重要性
これらは「まだ発展途上の体だからこそ、計画的な休養が必要」という明確な根拠です。
■ 成長を促す“休養のゴールデンタイム”
成長ホルモンが最も分泌されるのは「深い睡眠中」です。
特に、22時〜翌2時の時間帯に深く眠れているかが、身体づくりに大きく影響します。
中学生・高校生は、最低でも7〜8時間の睡眠時間を確保し、「早寝・早起き・朝食」の生活リズムを整えることが大前提です。
■ “やらせすぎ”に注意
・練習量が多い=強くなる
・毎日追い込む=意識が高い
・疲れてもやらせる=根性が育つ
…これらの考え方は、かえって逆効果になることがあります。
疲労が溜まった状態での反復は、フォームの崩れやケガの連鎖を引き起こし、結果的に成長を止めてしまいます。
だからこそ、「今日は休む勇気」や「質の高い回復時間」をチームとして認める文化が必要です。
■ 指導者・保護者ができること
・トレーニングの量と質を見直す日を設ける
・家での様子や食欲、寝つきの良し悪しを確認する
・「がんばる=正義」という価値観を押しつけない
・休んだ選手を否定しない空気づくり
休養もまた“指導の一部”。
選手が「安心して休める」環境をつくることが、最大の成長サポートです。
■ まとめ
・成長期の体は発達途中。無理をさせず、適切な休養が必要
・睡眠・栄養・精神的ケアを含めた“総合的な休養戦略”が重要
・指導者・保護者の理解が、選手の未来を左右する
【次回予告】
第8回では、「オーバートレーニング症候群」や“疲労蓄積の見逃し”について、注意すべきサインと予防法を解説します。
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