第10回:戦略的休養の設計と応用(アスリート休養学 コラム)

〜“休む日”を、パフォーマンスの起点に〜
これまでの9回で、睡眠・食事・メンタル・チーム設計など、休養に関わる多角的なテーマを解説してきました。
最終回となる今回は、それらを総合的に活用する「戦略的休養」の考え方を紹介します。
「頑張る日」と「休む日」を設計することで、年間を通じてパフォーマンスを最大化することが可能になります。
■ 戦略的休養とは?
“調子が悪くなったから休む”ではなく、“良い状態を保つために計画的に休む”という考え方です。
これは「予防的コンディショニング」の一環であり、近年ではプロアスリートの世界でも当たり前のように導入されています。
例:
・大会翌日は「完全休養日」として設定
・合宿明けや連戦中は「強度を落とした調整日」を挿入
・月1回は「身体と心のリセット日」としてリカバリーに集中
■ ピリオダイゼーションと休養の設計
年間・月間・週間のトレーニング計画の中に**「休養ブロック」**を明確に入れましょう。
年間計画での休養
・試合期:練習量を落とし、疲労を残さず本番へ
・移行期:2週間〜1か月程度の軽運動期を設ける
・強化期:週1の完全休養+週中の調整日で回復管理
週間計画での休養
・ハードなトレーニングの翌日は「軽負荷+回復メニュー」
・週1回のオフ日は、睡眠・食事・リラックスに集中
・「午前練のみ→午後オフ」など半休戦略も有効
■ 忙しい中高生でも実践できる「休養習慣」
・毎日同じ時間に寝て、7時間以上の睡眠を確保
・トレーニング後は必ず栄養補給と軽いストレッチ
・定期的にスマホやSNSから距離を取る「デジタル休養」
・「今日は疲れてる」と感じたら、無理せず強度を調整
「休むことは悪いこと」ではなく、「パフォーマンスを上げる戦略」として捉えることが大切です。
■ まとめ
・戦略的休養は“事前に組み込む”からこそ意味がある
・年間・月間・週間の単位で「回復のタイミング」を設計する
・成長を加速させるのは、頑張った“後”の休み方次第
・「よく休める選手」が「よく伸びる選手」
【おわりに】
10回にわたり、休養学の知識と実践ポイントをお届けしてきました。
“頑張るだけの選手”ではなく、“回復をマネジメントできる選手”が今後の勝負を制します。
これらの内容が、日々のパフォーマンスと人生の健康に少しでも役立てば幸いです。
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