【第2回】“見せる筋肉”の正体とは?

私たちは、SNSやテレビで「見事な筋肉美」を目にすることが増えました。盛り上がった胸筋、割れた腹筋、太くたくましい腕。それらは間違いなく「見せる筋肉」として多くの人を魅了します。では、この“見せる筋肉”とは何なのでしょうか?
“見せる筋肉”とは、見た目のインパクトやシルエットを重視して鍛えられた筋肉です。主にボディビルやフィジーク競技のような審美的な評価が中心となる世界では、この筋肉のバルク(大きさ)やカット(筋の浮き出し)が非常に重要です。対象となる筋肉は主に「表層筋群」であり、大胸筋・上腕二頭筋・腹直筋・大腿四頭筋などが中心になります。
この筋肉を作るためには、**高重量を低回数で行う「筋肥大狙いのウエイトトレーニング」**や、特定部位だけを狙った「アイソレーショントレーニング(単関節運動)」が多用されます。体脂肪率を極限まで落とし、筋肉の“線”をより際立たせるための食事制限や減量も、見た目の美しさを追求するためには必要不可欠な要素です。
ただし、この“見せる筋肉”は、実際のスポーツ動作において必ずしも有利に働くとは限りません。 筋肉量が多すぎると関節可動域が狭くなり、素早い動作や柔軟な体の使い方を妨げることがあります。また、特定の部位ばかりを鍛えることで、筋力バランスが崩れやすくなり、ケガのリスクが高まることも否めません。
もちろん、筋肉を美しく保つことはモチベーションの向上にもつながりますし、「見せる筋肉」を否定するものではありません。しかし、競技力を高める目的であれば、“見せる筋肉”に偏りすぎないよう注意する必要があります。
アスリートにとって重要なのは、筋肉そのものの見た目ではなく、**「動作を支えられるか」「競技動作の中で使えるか」**という視点です。次回はその差を生み出す「筋トレのやり方」の違いについて掘り下げていきます。
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