【第5回】“見せる筋肉”だけではケガが増える?

一見、筋肉が大きくてたくましい選手は強そうに見えます。しかし、“見せる筋肉”を重視しすぎた体には、思わぬ落とし穴が潜んでいます。それが「ケガのリスク」です。
ボディメイク志向のトレーニングでは、特定の部位を集中的に鍛える「分割法(スプリットルーティン)」が一般的です。胸の日、脚の日、腕の日…と部位ごとに鍛えていくことで、筋肉の肥大は促進されますが、筋肉同士の連動性や関節の安定性が置き去りになる傾向があります。
たとえば大腿四頭筋だけを強化し、ハムストリングスや内転筋とのバランスが悪くなれば、ジャンプやダッシュ動作での膝のブレが起きやすくなります。上半身では、広背筋や大胸筋が過剰に発達することで肩関節の可動域が狭まり、フォームを乱す原因になることもあります。
また、“見せる筋肉”を優先してトレーニングすると、**筋肉は大きくなる一方で柔軟性が損なわれやすくなります。**可動域の狭い筋肉では、急な動きや方向転換時に筋断裂や関節の負担が増大し、捻挫・肉離れ・関節炎といったスポーツ障害につながるケースも少なくありません。
このように、「動ける」ではなく「膨らんだ」筋肉ばかりを求めると、パフォーマンスの低下やケガのリスク上昇という代償を払うことになります。大切なのは、見た目のインパクトではなく、競技の中でスムーズに力を出し、怪我なく動き続けられる体です。
アスリートに必要なのは、バランス良く・機能的に働く筋肉。単純な筋肥大ではなく、「なぜその部位を鍛えるのか」「どう動きに活かすのか」を意識したトレーニングこそが、ケガに強く、動ける体をつくる鍵になります。
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