【第8回】体重と筋肉量のバランスを考える

「もっと筋肉をつけたい」「体を大きくしたい」と考える若手アスリートは少なくありません。しかし、筋肉をつけること=競技力が上がるとは限りません。競技パフォーマンスを最大限に発揮するには、「筋肉量」と「体重」のバランスが非常に重要です。
たとえば、筋肉量が増えればパワーは上がりますが、それに比例して体重も増加します。体重が増えると、ジャンプの高さやスプリントの加速力、方向転換のキレなど、スピード系の要素が犠牲になってしまう可能性があります。特にスピードや敏捷性が重要な競技では、筋肉量の“質”が問われるのです。
「軽くて強い体」を持つ選手は、必要な部位に必要なだけの筋肉を備えており、余計な重さを持たないため、エネルギー効率も良好です。サッカーやバスケットボール、バレーなど動きの多いスポーツでは、このバランスの取れた体が極めて有利です。
一方で、無理に筋肉を増やそうとして、全身をただ大きくしてしまうと、「パワーは出るけど動けない」「スタミナが落ちる」「ジャンプが重くなる」などの悪影響が出ることがあります。これは、筋力と体重の増加がパフォーマンスの向上に直結していない典型例です。
理想は、「競技特性に合った部位に、必要最小限の筋肉をつける」こと。つまり、筋肉量を増やすことよりも、どう動けるかを基準にした筋量設計が求められます。
筋トレの目的は「見た目を大きくすること」ではなく、「パフォーマンスを支えること」。その視点を持てば、無駄な増量や過剰な筋肥大を避け、自分に合った最適な体づくりが可能になります。
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