【第1回】ケガは予測できる?

スポーツ現場でのリスク管理の基本
スポーツの現場では「ケガはつきもの」と言われることが多くあります。しかし、近年の研究と現場の実践によって、「ケガの多くは予測・予防が可能である」という認識が広がりつつあります。もちろん、すべての外傷や事故を完全に防ぐことはできませんが、リスクの高い状態や前兆を見逃さなければ、深刻なケガを回避できる確率は飛躍的に高まります。
リスク管理の基本は、まず「観察」と「記録」にあります。選手の動き・疲労度・反応速度など、日々の変化を見逃さないこと。そして、定期的な体力測定や可動域のチェック、疲労度の自己評価(コンディションシートの活用など)を組み合わせることで、定量的な判断が可能になります。
次に重要なのは、「小さな異変を見逃さない」意識です。例えば、ストレッチの時に特定の部位に張りを感じる、走り方が微妙に左右で違う、などの違和感は、重大なケガの“始まり”であることが多くあります。指導者・トレーナー・選手が「いつもと違う」を共有し、記録し、相談できる文化を持つことが、リスク管理の土台になります。
加えて、チームとして“予防”を目的とした時間やトレーニングを設けることも必須です。例えば週に一度、ストレングスやモビリティに特化した時間を設ける、疲労度チェックを全体で行う、などの取り組みが、選手個々の意識と身体状態を底上げする大きなきっかけになります。
ケガを「起こった後に対応する」から、「起こる前に防ぐ」へ。リスクマネジメントは、一つひとつの小さな積み重ねから始まります。
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