【第4回】疲労蓄積が引き起こすケガ

コンディショニングで防ぐ
ケガの大きな原因の一つに「疲労の蓄積」があります。練習や試合を重ねる中で、肉体的な疲労が解消されないまま積み重なっていくと、身体の反応速度や可動域、筋出力に微妙な変化が生じ、結果的にケガにつながる確率が格段に高まります。
特に注意すべきは、「自覚症状が出る前」の状態です。選手自身が「疲れている」と感じていなくても、筋肉の張りや可動域の低下は着実に進行しています。疲労が溜まっていると、ジャンプの着地姿勢が不安定になったり、ダッシュの減速が遅れたりと、細かなミスが目立つようになります。これらがやがて、捻挫や肉離れといった「防げたはずのケガ」につながっていくのです。
ここで重要になるのが「コンディショニング」の考え方です。ただの休養やマッサージだけではなく、疲労の“正体”を理解し、回復と再適応を戦略的に行うことが求められます。具体的には、次のような取り組みが効果的です。
・アクティブリカバリー(軽い有酸素運動やストレッチなど)
・交代浴や温冷療法(血流促進と自律神経の調整)
・栄養摂取(特にタンパク質・ビタミンB群・抗酸化物質の補給)
・睡眠の質の向上(光・音・温度の調整)
・データ管理による負荷のコントロール(GPSなど)
「やり抜くことが美徳」とされがちな運動部において、こうした“整える”作業は軽視されがちですが、本来はパフォーマンス向上の土台となる最重要項目です。むしろ、「どれだけ練習するか」よりも、「どれだけ回復させられるか」が、継続的な成長とケガ予防の鍵となります。
チーム全体で「休むこと=怠けること」ではないという認識を持ち、コンディショニングの質を高めていくことが、選手を守り、強いチームをつくる第一歩です。
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トータルコンディショニングHIGASHI