サッカーのGPSデータで何が分かる?走行距離だけでは見えないフィジカルの評価
サッカーの試合後、GPSデータを確認すると、選手ごとの走行距離や最高速度、スプリント回数などが数値として表示されます。
「今日は10km以上走っている」
「前回より走行距離が増えた」
「最高速度が30km/hを超えた」
こうした数字は、選手の運動量や身体能力を考えるうえで参考になります。
しかし、走行距離が長い選手ほど、良いプレーをしていたと言えるのでしょうか。
私は、そう単純には判断できないと考えています。
GPSは、選手がどのように動いたのかを知るための道具です。大切なのは、数値の大きさだけではなく、その数値が何を示しているのかを理解することです。
走行距離が多ければ、良いわけではない
サッカーでは、ポジションやチームの戦い方によって、選手に求められる運動量が異なります。
例えば、ボールを保持する時間が長い試合と、守備に回る時間が長い試合では、同じ選手でも走行距離が変わることがあります。
また、試合の展開によっては、短い距離の加速や方向転換を繰り返す場面が増えることもあります。
そのため、走行距離が増えたという結果だけで、選手の走力が向上したとは判断できません。
逆に、走行距離が少なかったからといって、十分に動けていなかったとも限りません。
まず確認したいのは、出場時間やポジション、試合展開などの条件です。
走行距離は、試合中にどれだけ移動したかを示す数値であり、プレーの質を直接評価するものではありません。
最高速度とスプリント回数は別の能力を見る
私がGPSデータで重視している項目の一つが、最高速度です。
例えば、最高速度が30km/hを超える選手でも、試合中にその速度に近い走りを何度も行っているとは限りません。
一方で、最高速度はそれほど高くなくても、スプリントを繰り返している選手もいます。
ここで考えたいのは、最高速度を高める能力と、高い速度で走る回数や量を増やす能力は、分けて評価する必要があるということです。
ただし、試合中の最高速度は、走る機会があったかどうかにも左右されます。
そのため、試合のGPSデータだけで選手本来の最高速度を判断せず、必要に応じてスプリントテストなどの結果も確認します。
私がフィジカルトレーニングで大切にしているのは、次の3つです。
① 最高速度を引き上げる
② 高い速度で走る量を増やす
③ 速いスピードで走る回数を増やす
それぞれの能力を区別することで、選手に必要なトレーニングが見えやすくなります。
加速・減速の数値から見えるもの
サッカーでは、直線的に速く走るだけでなく、加速や減速を繰り返す動きも求められます。
相手への寄せ、ボールへの反応、攻守の切り替え。
こうした場面では、短い距離で速度を変化させる能力が重要になります。
GPSでは、一定の基準を超えた加速や減速の回数を確認できます。
例えば、減速回数は十分でも、加速回数が少ない場合があります。
この結果から、減速した後に再び加速する動きが不足している可能性を考えることはできます。
ただし、数値だけで攻守の切り替えが遅いと断定することはできません。
実際のプレーを確認し、必要であれば映像と照らし合わせることが重要です。
また、GPS機器によって測定方法や判定基準が異なるため、異なる機器の数値をそのまま比較する際には注意が必要です。
GPSデータをトレーニングにどう反映するか
私がGPSを活用する目的は、選手の数値を並べて順位をつけることではありません。
チームとして、どのような運動能力が不足しているのか。
その課題に対して、どのようなトレーニングが必要なのか。
これを考えるためです。
例えば、走行距離は確保できているものの、高速走行距離やスプリント回数が目標に届いていない場合。
単純にランニングの距離を増やすのではなく、高い速度で走るトレーニングの内容や頻度を見直すことが考えられます。
また、試合後半に高強度の動きが減少している場合も、体力不足だけが原因とは限りません。
試合展開、戦術的な役割、疲労などを考慮しながら判断する必要があります。
GPSデータは、フィジカルテストや現場での動きと組み合わせることで、より実用的な情報になります。
数字を見ることと、選手を見ること
GPSの普及によって、以前は感覚的に捉えていた試合中の運動量を、数値として確認できるようになりました。
これは、フィジカル指導にとって大きな利点です。
一方で、数字があるからこそ、その数値だけで判断してしまう危険性もあります。
走行距離が多いから良い。
スプリント回数が少ないから悪い。
そうした単純な評価では、選手の状態や試合で求められていた動きを十分に理解できません。
チーム全体の課題を把握することと、個々の選手に必要な能力を見極めること。
その両方が必要です。
Total Conditioning HIGASHIでは、チームのフィジカル指導において、GPSデータやフィジカルテストの結果を活用しながら、トレーニング内容を検討しています。
大切なのは、GPSの数値を良くすることではありません。
試合で必要な身体能力を高めるために、GPSの数値をどう活用するか。
その視点を持つことが、データを実際の指導に生かす第一歩だと考えています。
トータルコンディショニングHIGASHIができること
トータルコンディショニングHIGASHIでは、チーム・選手の現場に寄り添いながら、科学的根拠に基づいたフィジカルサポートを提供しています。
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